FUZZY
「ぷりん美味しかった。ありがとうね、弘実」
「えっ、お、おう!」
あからさまに照れる弘実とそんな弘実を見ずにキッチンへと移動した理乃さんとの温度差に思わず笑いそうになるが、これが幼なじみにしかできない安定感というか空気感?でそれを感じ取ってしまったから幼なじみ羨ましいなってちょっと思った。
きっと俺なんかより弘実の方が彼女のことを知っているし、近くにいる存在。
「弘実さんのぷりん、ちょーだい」
「は、お前は自分の食えよ」
「なんかムカつくからちょーだい」
「理由になってねーから無理。つーか早く食って帰れよ。終電逃したら歩きだろ?タクシーとか使わねーんだろ?がきんちょは!」
「弘実さんこそ下心丸出しで来たくせにあんまり調子乗ったこと言わないでくれません?あとがきんちょって言いますけど俺、持つべきモノは意外と立派ですから」
「ぜってー俺の方が大きいから」
「ふん、俺です」
「仲良いのか悪いのかわかんないね、ふたり」
キッチンから顔を出してふにゃり笑った理乃さんにときめきを抑えられない俺と、「かわいーな、おい」と小声で呟く下心弘実。俺はね、かわいかったらちゃんと伝える派なので。
ちなみに〝かわいい〟って言ったらナカがめちゃくちゃ締まるんだよね。弘実は知らないと思うし、教えてあげないけど。