FUZZY
若くて綺麗で頭もいい彼女か。
手に入れた先輩すごいな。
ていうか先輩ってどこに行っても人気だよね。女の子たちが指をさしたり話しかけようとしたり、そわそわしているのがここからでも伝わってくるもん。
完全にプライベートだから知らないふりしようって思っていたのに。
「…侑芽!なにしてんの!」
「なにって我らが樋井一眞先輩に挨拶よ。私は所属してる課が違うんだけどね」
「でも彼女さんといるんだしやめておいた方が——…」
止めようとしたけど一足遅かった。
侑芽は先輩に話しかけておまけにこちらを指差している。そして向けられる嫌そうな顔。そりゃそうだ。休みの日に後輩とは会いたくないだろう。
「……お疲れ様です」
「挨拶するなら声のトーンあげてくれない?」
「控えめにしてるんですよ!邪魔しちゃ悪いかなって思って!」
「瀬河の同期は俺と仕事したことないのに話しかけてきたけど?」
「それはほんとーーーにすみません!」
顔の前で手を合わせて謝ると、「ううん、別に気にしてないよ」と許してくれた。