こい に つかれる
「それがおまえに何の関係があるの」
何の関係も何も、見据えたアーモンド形の眼が、私のつよいところを切り捨てる光で言った。
何の関係、って、何の。
とか言い出したい唇は一度開いて、また閉じる。
煌びやかな夜が、点々と灯した寂を捨てないまま町になってしまったから、それはすこしの孤独を生かして。
私たちは、ちょっとだけおとなに近づいてしまった。
「関係ないよ、たぶん」
「“たぶん”ってウザいね」
「だって世界はそういうふうにできてるの」
逃げる言葉が必要だから、意味ありげな溜め息だって束の間のセンチメンタルだって、音にしてわざわざ伝える。
逃げる言葉は必要だ。
自分が傷ついてしまうの、見ていたくはないでしょう世知辛い。
「果無はいつもそう。自分にしか見えない世界の話をする」
「ふふ。そう言う季和は私ときみしかいない世界がだいすき」
「ああうん、俺はちゃんと自己を肯定しているから」
季和。和やかな季節に生まれたから、季和。温かくていい名前。なのにいつも顔を無にしてばかり。
「季和が今日も季和でうれしい」