こい に つかれる
煌びやかな夜の孤独も、季節も色も距離も、きみの眼も。そのままの状態がいちばんすき、ってそれはそれで否定的。
今日で変わっても、まもってあげようって心に留めた決意なんて不必要だったのかもしれない。
「季和」
だってきみは私の不変だ。
「なに、」
この夜景が見えるマンションの一角、窓際の光、振り返れば季和がいるなんて。そんなの今だけだなんて。
季和。
名残惜しくて堪らないなんて、これは恋だったのかな。
「ピアッサー買ってくるの忘れた」
うまく笑えている私に季和は溜め息をついてグラスの水を口に含む。
「そんなことだろうと思った」
瑞々しく聞こえた潤いの声、静かで。
堪らない。平常心、乱れない。
彼は私と彼だけの世界がすきだと言う。協調性の欠片もなく、曖昧で半端な欠片しか思っていないこの世界が。
堪らなくない。平常心、乱したい。
口実しか言い出せない本音の奥底で、変わってしまって変わらないアイでも伝えたいのに。
「果無」
夜景が見たいとか言ったせいで暗い部屋、平坦、季和がまた静かな声で私の名前を紡いだ。
「なー、に」
窓ばかりだとあんまりだ。再び彼の方を振り返ってみせる。
ベッドの側面に背を凭れさせた季和は、やっぱり顔に無を塗りたくったまま、私を睨んでいた。