こい に つかれる




それから、何て顔して、言うつもりだったっけ。



「おバカだね、果無。たった1日でぜんぶが変わってたら息苦しくて堪んないよ、世界だって平和で詰まる」



季和。



「急に真面目ぶるなよ。おまえもう他を選べないくせに」



季和。

ああこれだから世界が。



「選ばない、の。私が」



変わっても、まもりたくなる。

とか心意気は不必要だ。要らない。だけど万が一異物が混ざっていたそのときために、幾らだって庇護の手を開いて。

……なんて。



「季和みたいに卑怯な囲いはいらない程度に自分に正直だから」



きみが知ったら私は許されないかもね。



「よく言うよ」



でも、とかいう否定構文を続ける暇もない。ああ鼓動が高鳴って煩い、煩い、心地良い。だれの? 私の? ううん、きみの。

季和の鋭い眼、私にはやっぱり好ましい。平和ばかりを好まない彼の言葉が、勝手に高揚誘う。

笑っちゃう。世界はつまらない事なんて言わない。



「ねぇ、」

「うん?」

「ハグ、しよ。それでチューもしよう」

「ついでにそれ以上もね」



つられたように笑って言った季和がすぐに塞いでくるから、また彼の眼が見れなかった。いい。見なくても私を見てるって、きっとそう。

頭が真っ新に何も考えられないようになって、剥いで、次は新しい価値観で不変を捨てて、白い果てときらめきが頭中を巡って目眩く境で私を見て。

て、あまりにも快楽かな。





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