My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~
涼と渚が高校1年の3月~~~~~~~


隣の家に住んでいる渚は、小学生の頃から毎朝、登校時間になると、涼を迎えに行っていた。


髪も寝癖だらけで、寝ぼけた顔のままの涼が、玄関の扉を開ける。


「今日も学校サボるから、一人で行って」


「えーっ!!!また休むのーーーっ!?」


「おぅっ!!いってらっしゃい。それからおやすみ……」


「起きたばかりなのに、また寝るの?」


今年の1月の冬休み明け辺りから、涼は学校を休みがちになっていた。


中学の頃の涼は、渚と共に演劇部のダブルエースと呼ばれていた。

涼は天狗になり、天才だと思い込み、必死に練習するのは格好が悪い。

練習せずにミスしないのがカッコいい。

年齢的にも、そう思って仕方がない時期だった。

高校に入学してからも演劇部に入ったが、先生や先輩は、涼の素質は認めるものの、練習しない部員を特別扱いするわけにもいかない。

涼は配役がもらえず、ナレーションや大道具の裏方をさせられていた。

渚はヒロインで、涼は裏方。

涼にとって面白いはずがなく、演劇生活の中で、初めての挫折を味わった。

最近の涼は部活に出ることもなく、学校に行くのも面倒になって、腐りはじめていたのだ。








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