My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~
「あっ……りょ……」


浴衣姿の涼を見かけた渚は、慌てて柱の影に隠れた。

涼の隣に舞がいたのだ。

アイドルのセンターに上り詰めると、浴衣姿も自分で準備した渚とは全然違う。

朝からスタイリストに、セットとメイクをしてもらっていて、渚も思わず「綺麗……」と呟くほど。

そんな舞と涼が仲良さそうに話している姿を見て、思わず隠れてしまったののである。


「別に隠れる必要ないのに……
何やってるんだろ?」


独り言をブツブツと言う渚だが、涼と舞を引き留める勇気などない。

二人が通りすぎた後、後ろ姿を柱から眺める事しかできなかった。


あんなに仲良さそうにしてる……


えっ?


私……嫉妬してる?


別に付き合ってる訳じゃないんだから、私に何か言う権利なんてないのはわかってる……


でも……


その時だった。


「おはよー。今からバスに乗るの?一緒に行かない?」


後ろを振り返ると、そこには笑顔の紫音がいた。

ホテルのロビーで待っていれば、誰の先約があっても涼が一緒に行ってくれる。

これまでなら、そうだったはず。

渚が望んでいたイメージを、叶えてくれた紫音に感謝して、笑顔を向けた。


「はいっ!!一緒に行きましょうっ!!」




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