My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~
紫音と露店巡りをしていた渚は、とうもろこしを買って貰ってご満悦。
人波を横目に、道路の隅に寄って、二人でとうもろこしを一本ずつ手にして、食べていた。
「紫音ありがとうっ!!
とうもろこし好きなんです」
「渚って幸せそうな顔で食べるんだね?」
「えへへ。
こうしてお祭りの時に、とうもろこし1本全部食べるのって、夢だったんですよ~」
「何?その小さな夢。これまで生きてて聞いたことがないよ~。
あははは。」
思わず笑う紫音に渚も笑顔で答える。
「いつも真ん中で割って、りょ……あっ。
友達といつも半分ずつだったんです。
これだけお店が出てたら、色んな事をしたいじゃないですか?
かき氷も食べたいし、綿菓子も捨てがたいし」
渚は涼の話をするのは、失礼じゃないか?と思って、友達と言い直した。
紫音が他の女の子の話をしていても、楽しいはずがないと、感じたから。
それでも何ひとつ、嫌な顔をしない紫音は大人だと思えた。
「渚って欲張りさんなんだね?」
「はいっ!!だから半分ずつ食べてたんです」
「そっかー。じゃあ今日も半分ずつにする?」
渚は咄嗟に、財布を出して謝った。
「ごめんなさい……紫音だって学生なのに、おごってもらったりして」