My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~
告白の後のキスシーンを振り返っていた渚は小さく呟いた。


「紫音は私の事をどう思ってるんだろ……」


私の事を好きになってくれてるのかな……?


そんなわけないよね……


だって……


紫音は凄いアイドルだもん……


もっと綺麗な人とか……


芸能界にいっぱいいるから……


そう思うと同時に、自分の気持ちへも自問自答する。


自分は紫音の事が好きなのか?


それとも、憧れの気持ちなのか?


もう紫音のことで頭がいっぱいの渚の心に、涼は消えかかっていた。


涼が舞と仲良くなって、幸せになってくれるなら、そういう道もあるかもしれない。


なんて気持ちも持ち始めていた。



恋人になれるかなんてわからない……


でも私は紫音が好きなんだ……


そんな事を考えていた時に、背後から紫音の声が聞こえてきた。


「急にビックリさせてごめん」


「わっ!!ビックリしたっ!!」


「フフっ…そこじゃないよ?勝手にアドリブを入れたことだよ?」


「いったいなんだったんですか?台本になかったから、ビックリしましたよ~」


何かの冗談だと思って、無理に笑顔を作っている渚だが、緊張で目を合わせる事ができない。

そんな渚の隣に立った紫音は、花火を見つめながら呟くように話す。


「俺とのキスシーン嫌だった?」


「えっと……ドキドキしました……」


恥ずかしそうに答えた渚の顔は、真っ赤に染まっていた。

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