My dear prince~初恋の幼馴染or憧れのアイドル~
孤立
泣いている渚と慰めている涼を、木陰から見ていた者がいた。
苦虫を噛み潰したような表情をして、苛立ちを隠せない女。
舞。
涼と渚がくっついてもらわないと困るのである。
紫音が素人同然の渚と付き合うなんて、プライドが許さない。
舞は芸能人のイケメンと出会う為に、アイドルになった。
歌、ダンス、芝居、など興味のないレッスン。
それを乗り越えてアイドルグループのセンターにまで上り詰めて、紫音と肩を並べる位置まで、努力で勝ち取った。
嬉しくもないのに、ニコニコして……
やっと国民的アイドルになったのに……
紫音と対等に話せるようになった途端に、一体何なの?
あのガキは……
本当に気に入らない……
さっさと告白すれば良かったのに、あのバカがモタモタしてるから、ダメになったんじゃないっ!!
渚をガキ、涼をバカ、とこき下ろしても、舞の怒りはおさまらない。
舞は優しい振りをして、涼に告白を促していたのも自分の為。
舞がニヤリと不気味に笑って、一言呟いた。
「使い物にならなかったバカはもういい。
私があのガキを、ここから追い出せばいいだけなんだから」