それでも、恋
俺の心は、視線は、もう完全に囚われていた。
紫外線を防ぐ、白いレースカーテンの引かれた窓。大きすぎる白いベッド。見るからに質の良いパジャマを着て。鮮やかな花々に囲まれて。
純白に溶けるように、真っ白な妖精が静かな眠りについていた。
この空間は、色を持たない。雪のような肌も、枕に広がる長い髪も、前髪の隙間から覗く眉毛も、しっかりと伏せられた睫毛も、ぜんぶが、真っ白で。
その妖精は、生まれつき色素がとても少ない、アルビノの少女だった。
その場を彩る花束だけが、妙に鮮やかだ。無駄な色素を持った俺は、なんだか俗世的で、場違いな気持ちになった。
それが恥ずかしいと感じるのに、なぜだかこの場から離れることができない。強い引力で引っ張られるように、立ち止まっている。
そのくせ、ベッドに近寄る勇気も出なかった。
これを世間では、ひとめぼれ、と呼ぶらしい。