それでも、恋



目の前に座ってホワイトモカを飲む宇田さんは、折口くんの話を聞いている。

まったく相容れなそうなふたりが、じつはけっこう気の合うことを俺は知っている。くやしいことに。

ていうか、聞いていない。白い睫毛の奥にあるビー玉のようなグレーの瞳は、退屈なのを隠そうともしない。

彼女は、その神秘的な容姿と裏腹に、けっこう俗世的な表情をする。思考回路も、ごくだ。ふつう。


先天的にメラニンが欠乏する、遺伝子疾患のアルビノ。俺が調べたところによると、紫外線に対する皮膚の弱さなど、様々な問題がある疾患らしい。

病弱なために学校を休みがちだし、グラウンドでの体育に参加できなかったりする。彼女は、前者のせいで毎日授業の進む数学が苦手だけど、後者のおかげで高梨先生と特別講義したりできるらしい。
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