それでも、恋

高梨先生が、先週わたしがお休みしちゃったぶんの補習をしてくれると言い出した。

言わせてもらうと、ありがた迷惑である。放課後はスバルくんと遊びたい。

だけど、高梨先生の格好良さに見惚れていたわたしは、蕩けた脳みそで「チョー助かりますー」と答えてしまった。かっこいいって、罪だなあ。


そんなわけで、今日の放課後。ネクタイを片手でしゅるりと緩める、うちの学校の王子様先生と。


「宇田さんはどこが分からないですか?」

「先生、どこもわからないですね」


関数の話になるとなんにも頭に入ってこない、わたくし、宇田真菜子と。


「折口くんは理解できてますか?」

「リカ?!え、数学じゃなくて、理科?!」


日本語すら聞き取れない、折口少年と。


「僕はぜんぶわかります」


じゃあ、なんで補修に来たんですか。帰ればいいのに。ていうか、帰れよ。

嫌味な美少年を含めた4人。学校の中にある、多目的テラスと呼ばれる自由な空間で、丸いテーブルを囲んでいた。

こっちゃんは、不参加。なぜなら、彼女はふつうに数学ができるからだ。
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