若女将の見初められ婚

*◇*◇*


久しぶりにゆっくりと過ごす夜がきた。しの君とビールで乾杯する。
心地よい疲れの中で飲むビールは最高だ!

「よう頑張ったな」
温かい大きな手で頭を撫でてくれる。

「何も言わず、私の好きなようにさせてくれてありがとう」

端で見ていたら、口出ししたいことも多々あったと思う。それでも黙ってサポートに徹してくれたことがありがたい。

「いや、口を挟むようなこと何もなかったで。いいイベントやった。売上もすごくよかったしな。若女将様様や」
おどけるように言って、しの君は笑った。

「これからもやりたいことは、どんどんやっていけばいい。俺が志乃を支えていく。俺は志乃がそばにおってくれたら、それだけでいい」

そっと抱き寄せられる。

私も大きな背中に手を回して抱き締め返した。安心する温もり。

「一つしてほしい仕事があるけどな」

イベントが終わってすぐやのに、もう次の仕事?!

私は体を離して聞いた。
「新しい仕事?私にできること?」

「志乃にしかできひんことや」


なに?思いつかへんけど。


しの君は私をもう一度抱き締め、耳元で囁いた。

「志乃によく似たかわいい女の子が欲しい」

一瞬で顔が真っ赤になる。

しの君は笑いながら、ゆっくり私をソファに押し倒した。

< 100 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop