若女将の見初められ婚

途中の和菓子屋さんで、お土産を買う。

今日も、お二人でいてはるかな。
お土産は四人分のおはぎでよかったかな…

すっかり慣れた日本家屋の呼び鈴を鳴らして、カラカラと門扉を開ける。

「ごめんください。岩倉です」

「「はーい!」」

やっぱり二人でいてはった。

藤枝先生は私のお稽古の日に合わせて、織田先生の家に来るようになった。

藤枝先生がモデルになってくださるので、藤枝先生に着付けてお稽古をする。

最近はちゃんとお二人の見分けがつくようになり、声だけ聞いても、どちらの声かわかるようになってきた。

モデルをしていただけるので、わざわざ来てくださるのは嬉しいんやけど…

玄関をカラカラっと開ける音がする。
「頼ちゃん、来たでぇ」

女将さんの登場だ。

最近、女将さんも来るようになったのがなぁ…いいのかどうか。

「なんで志乃ちゃんと頼朝が仲ようせなあかんの!うちも行く!」

私のお稽古に藤枝先生が来ると報告したばっかりに、こんなことになってしまった。

旦那さんにはお店をさぼってるのがバレてるみたいやし。

< 34 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop