若女将の見初められ婚
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私は生まれてから一度も京都を離れたことがない。
高校までは公立の学校に通い、大学は今勤めている私立の女子大学を卒業した。
大学に通うときには、既にお店の経営状況がよくなかったが、奨学金を貰うことで無事卒業できた。
そして、大学職員として運よく残ることができ、24歳の現在まで働かせてもらっている。
私は男の人があまり得意ではないので、女子大学の事務は、うってつけの仕事だった。
上司は穏やかな人が多く、人間関係は良好。学生と接する仕事もやりがいがあった。
でも、そんなに高いお給料を貰っているわけではなく、奨学金の返済もあるので、実家にいれるお金は少額だ。
それがいけなかったのかもしれない。
もっとお金を稼げる仕事に移った方がいいかな?
そしたら、お父さんたちの力になれる?
考えることは、お店のことばかり。手遅れになる前に、とにかく帰ったらもう一度話をしてみよう。
キュッと唇を噛み締めて、私は仕事に集中した。