若女将の見初められ婚
大荒れの撮影会
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二週間が過ぎ、満開の桜とお店の休みが重なった。
せっかくのお休み、本当は京都御所の圧巻な枝垂れ桜を見に行きたいところだが、今日は新年度のカタログ撮影会がある。
桜の季節になると、毎年お客様に渡すカタログを切り替えるそうだ。
うちの庭は、季節ごとのお花が見事に咲く庭で、今は一本の枝垂れ桜が綺麗に咲いている。その桜を入れたカタログを作るらしい。
朝からカメラマンや照明さんたちがたくさん来て、初めて見る撮影会に私はそわそわし通しだった。
モデルさんたちは、何枚も着物を着替えるため、着付けの手伝いに織田先生が来ていた。
和室での撮影に使うお花を活けるために、藤枝先生もいる。
「志乃ちゃん、若女将の仕事、頑張ってるそうやないの。今日は着付けの腕を確認するから覚悟しときや」
織田先生がジリジリと脅してくる。
私は振り袖を着付けることができるようになったので、織田先生のお稽古を卒業していた。久しぶりのご対面なのだ。
ひーっと怯え、「ガンバリマス」と答える。
そこにズイッと藤枝先生まで現れ、「私もよう見て上げる」と追い討ちをかけてきた。