若女将の見初められ婚

大急ぎで後片付けを済まし、みんなで食事をしに行く。

家を出るときに、しの君への連絡をどうしようか考えたけれど、メモを残していくことにした。

理沙さんと過ごしているところにメッセージを送ることすら嫌だった。

「さぁ、肉食べに行くでっ!」
女将さんは、すごい意気込みだ。

私は『ハイ!お供しますっ』という立場だが、無理やり行かされる旦那さんは本当に嫌そうだった。

「わしは、一人で静かに食いたい…」

遠い目をする旦那さんを励ましつつ、高級鉄板焼のお店に向かった。

「一番高いコース!五人前で!」
女将さんが迷いなく注文する。

「恐ろしい金額になりそうですけど。いいんですか?」
旦那さんにこそこそと聞く。

「もうどうでもええ」
旦那さんは放心状態になっていた。

「志乃会」の三人は、とにかくすごい迫力だった。怒りはパワーに変わるというのを目の前で体験した感じだ。

むちゃくちゃ飲むし、よく食べる。

実は私もお酒に強い。
嫌なことは飲んで忘れてしまえー!
という女将さんたちに煽られてガンガン飲んだ。

< 61 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop