若女将の見初められ婚

「仁が若い嫁さんをもらったというのは聞いてましたが、ほんまに可愛いお嫁さんをもらいましたね」

さすが副社長、リップサービスがうまい。

「そうやろ?もう可愛くて可愛くて。アホな仁には、勿体ないお嫁さんやのよ」

女将さんは私をバンバン叩きながら言った。

それからは、倉木さんも同席して、盛り上がった。

藤枝先生は、どさくさに紛れて「あんた、もう決まった人おる?」と、縁組み魂を発揮していた。

私は飲み過ぎでハイになり、倉木さんとペラペラ話した。

倉木さんは、笑って聞いてくれて「志乃ちゃんは可愛いなぁ」と頭をポンポンと撫でてくれた。

フフフ、楽しいなぁ。
でも、だんだん目蓋が重くなってゆく。
アルコールには強いので、酔いつぶれるはずはないのに…

あかん、もう眠い…
それが最後の記憶になった。

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