若女将の見初められ婚
修羅場?
*◇*◇*
四月に入った。
京都は観光シーズン真っ只中。
「いわくら」は今日もお客様で大にぎわいだった。
「志乃ちゃん、次の女性お二人の着付けお願いね」
「わかりました!」
私は、着付けをスムーズにできるようになり、若女将として少しは役にたてているようだ。
しの君は、アイドルの写真集が大詰めらしく、三日前から東京にいっている。
理沙さんも一緒だ。
カタログ撮影会の日のゴタゴタも、結局ゆっくり話ができないまま。
何となく気まずい状態が続いていて、このままではいけないとわかってはいるけれど…
お昼の休憩中に、しの君からメッセージが着ているのに気づいた。
「撮影が順調に進んだので、夕方に帰る」
今日こそゆっくり話したい。晩ごはんは、しの君の好きな唐揚げを作ろかな。
頬が緩む。現金なものだ。