若女将の見初められ婚
それからはどんどん詳細が説明される。京都を代表する百貨店で開催される大きなイベントだ。失敗は許されない。
話を聞いていて不安がよぎり始める。やりたいという気持ちだけで、始めてしまったが大丈夫だろうか…
緊張で四肢が冷えてくる。
すると、私の状態を見透かしたように、しの君が冷たい私の手をギュッと握りしめてくれた。
『大丈夫、俺がついてる』
そう言われたわけではないが、しの君の気持ちが指先から伝わり、手の冷えが収まってゆく。
肩の力がフッと抜けた。
自分ができることをするだけだ。わからないことは相談すればいいのだから。
そこからは、必死に資料を確認しながら話についていった。