若女将の見初められ婚
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会場に着いて、試着室で手早く浴衣を身につける。女将さんの浴衣は、紺地に白の桔梗の花が咲いていた。帯は橙色だ。
少し大人っぽく見えるかな…
女将さんに近づけた気がして嬉しい。
髪飾りは父の新作で、天然石を組み合わせたかんざしを刺した。
手伝いに来てくれた呉服売場の販売員さんは、坂井さんという私と同じ歳の方だった。七日間ずっといてくれるので心強い。
坂井さんも吉木姉さんのファンらしい。
「吉木さんってカッコいいですよねぇ」
坂井さんが、そう言うので激しく同意した。なるほど、私と息が合いそうってこういうこと?
さすが吉木姉さん、自分のファンの見極めができている。
坂井さんは、私のかんざしを気に入ってくれて、「売りきれる前に買ってもいいですか?」とコソッと聞くので、コソッと「いいですよ」と答えた。
坂井さんと一緒に働くのは楽しくなりそうだった。