若女将の見初められ婚
四日目の午後、
「志乃ちゃん」
と声をかけられて振り向くと、大学で働いていたときの同僚だったゆかりさんだ。
「約束どおり、浴衣買いに来たよ」懐かしい笑顔に思わず飛び付いてしまった。
「すっかり若女将が板についたねぇ。浴衣もよう似合ってるよ」
話したいことは山ほどあったが、ここでおしゃべりをするわけにはいかない。
ゆかりさんの好みを聞きながら、浴衣を勧めていく。
白地に紺の朝顔柄のものを気に入っていただき、「たちばな」の髪飾りも合わせて購入していただけた。
落ち着いたらランチに行こうと約束し、手を降って別れた。
わかった!
私はお姉さんタイプの人が好きなんやわ。ゆかりさんといい、吉木姉さんといい、多分、自分にはない包容力を求めてるんやなぁ。
そうかそうかと頷いていると、
「志乃さん」
また声をかけられる。
今日は、知り合いが多く来てくれる日?
「はい!」
機嫌よく振り返ると、そこには理沙さんがいた。