LOVEPAIN⑥
一度だけ
涼雅にはライブに誘われた事がある
「これ、俺の持ってた分のチケット余ったから」
涼雅は自分達のバンドが出る日の、
そのライブハウスのチケットを私にくれた
後から思えば、
それは余っていたわけではなくて、
私の為に一枚用意してくれていたのだと思う
「うわぁ、楽しみ!」
そのチケットを貰った時は、
私はそう言ったし
本当に、そう思っていた
8月中旬の、とても暑い日
私はそのライブハウスがある、
海の近い駅で電車を降りた
涼雅から聞いていたように、
その【VANITY】と言うライブハウスは、
駅からわりと近くにあった
時刻は、もうすぐ18時
夏だから、まだ空は明るい