LOVEPAIN⑥


「――涼雅、カッコいいよね」


通りすがりに聞こえた、
その言葉



私も列に並ぼうと、
最後尾に向かって歩いていた足が、

止まった



立ち聞きするのも悪くて、

再び歩き出す




「今日、ライブ終わったら、
涼雅達に手紙渡そうと思ってんの」


また、違う女の子が、

そう話しているのが聞こえて来た




「マジ、涼雅カッケーよな!

涼雅だけじゃなく、
ギターの――」


今度は、男の子の二人組がそう話していた




私は歩みを速めて、

そのライブハウスから遠ざかる




「――って人気だよね。
今日、チケット完売で、当券でないんでしょ?」





なんだろ



この場に居る事が、
耐えられなかった


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