LOVEPAIN⑥


「この前の打ち上げん時。

俺が、無理矢理こいつを空いてる部屋に引っ張りこんだんだよ」




成瀬の足が止まり、
私の腕から手が離れる



私も何を言い出すのかと、
佐藤雲雀を振り返った




佐藤雲雀は腕を組みながら壁に凭れ、

まるで、私と成瀬を睨むように見ている




「加藤コウの馬鹿が絡んで来るから、
スゲーむしゃくしゃして。

たまたまこいつが通り掛かったから、
犯してやったんだよ」



「――広子?」


成瀬はそれが本当か問うように、

私を見て来る



本当だと、頷きそうになり、

思い止まった




もし認めて、

万が一、成瀬が佐藤雲雀に対して、
暴力をふるったら?



今の私に、成瀬がそこ迄するような思いはないかもしれないけど



けど、もし、成瀬が佐藤雲雀に何かしたら、

どんな事情があろうと
成瀬の方が不利かもしれない



佐藤雲雀は人気のモデルだから、

彼を庇う人間の方が多く、
力があるはず


< 171 / 501 >

この作品をシェア

pagetop