LOVEPAIN⑥
「この前の打ち上げん時。
俺が、無理矢理こいつを空いてる部屋に引っ張りこんだんだよ」
成瀬の足が止まり、
私の腕から手が離れる
私も何を言い出すのかと、
佐藤雲雀を振り返った
佐藤雲雀は腕を組みながら壁に凭れ、
まるで、私と成瀬を睨むように見ている
「加藤コウの馬鹿が絡んで来るから、
スゲーむしゃくしゃして。
たまたまこいつが通り掛かったから、
犯してやったんだよ」
「――広子?」
成瀬はそれが本当か問うように、
私を見て来る
本当だと、頷きそうになり、
思い止まった
もし認めて、
万が一、成瀬が佐藤雲雀に対して、
暴力をふるったら?
今の私に、成瀬がそこ迄するような思いはないかもしれないけど
けど、もし、成瀬が佐藤雲雀に何かしたら、
どんな事情があろうと
成瀬の方が不利かもしれない
佐藤雲雀は人気のモデルだから、
彼を庇う人間の方が多く、
力があるはず