LOVEPAIN⑥
「広子ちゃんの思っている通り。
言葉はデートとかで濁しているけど。
ようは、ヤラせろって事」
それって、枕営業……
枕営業とは違うのかもしれないが、
差ほど差はないのかもしれない
この誘いを断って
音楽界のこの大物を敵に回すなんて、
恐れ多い
以前、本当に私に気があるのなら、
秋原慎太郎は権力を使って私をどうこう出来るはず、
とか思っていたけど
実際、そうなると、
有り得ないのだけど
そんな横暴な事
「成瀬さんは、それを分かってたんですよね?」
分かってて、
私をこの人に送らせている
“――広子。今日は秋原さんに送って貰え――”
「成瀬…ああ、マネージャーさんね。
彼、社長もやってんだよね?」
「あ、はい」
「社長かー、イケメン社長だね」
「あ、はい」
なんとなく、どうでもいい話になっている