LOVEPAIN⑥


「成瀬さんはきっともう無理だぞ?

言われなくても、
てめぇが一番分かってるだろうがよ」



「はい……」



時々、芽衣子さんとは、
このマンションでバッタリと会う



何度かは、
彼女の隣に成瀬も居た





“あ、広子ちゃん”



会う度に、

満面の笑みで私の名前を呼んでくれる



その芽衣子さんは、
本当に幸せそうで



成瀬に愛されているんだって、

全身からそんな幸せオーラが出ている





「私、芽衣子さんの事が好きなんですよ。

だから、成瀬さんとどうこうなりたいなんて、
もう思ってないですよ」



まだ好きだけど、
そう思う



成瀬の横には、
芽衣子さんがずっと居て欲しい



だけど、ほんの少しだけ、

そんな幸せそうな芽衣子さんを見る事が辛い時はある



きっと、それは当たり前で普通の感情だと思うけど




私が成瀬を好きな限り、

そんな感情を全く持たずに
芽衣子さんの幸せを微笑ましく眺める事は出来ないだろう





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