LOVEPAIN⑥


「――俺、鈴木広子のいらんねんなぁ。

ほんまいらんわぁ」


店内のイベント会場のそのブース内に居ると、

ついたての向こうでそうやって話しているのが聞こえて来る



場所が大阪だから、
関西弁で……



特別、私ばかりの悪口でもなく、

3人共均等にそう言われているが



イベント参加目的の購入者には、
抱き合わせでいらないDVDも買わせてしまうから、

申し訳ない気もしてしまう




アリスちゃん、Mioちゃん、
私の順番でかみてから並び



購入者達も、

並ばされて順番にかみてから握手等を求めやって来る





「広子ちゃんも、頑張ってなぁ」


そう私の手を握るのは、

先程、私のDVDはいらんと言っていた、
若い男性


姿は見ていなかったが、
少し掠れた特徴的な声が同じ



先程、一緒に来ている友達か何かと私に対してそう言っていたが、

こうやって顔を合わせてみると良い人



ただ、アリスちゃんやMioちゃんにはサインを求めていたが、

私にはそれを言って来ないので



その辺りは、
ハッキリとしている



いらん、のだろう

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