LOVEPAIN⑥
「私の好きな人は…」
成瀬の顔ではなくて、
篤の顔が頭に浮かんだ
昨日気付いた、その気持ち
昨日、眠っている篤の寝顔を見ながら、
私はその思いに気付いたと同時に、
その思いを断ち切ろうと決意した
誰よりも、
ナツキを大切にしようと思ったのも理由の一つだけど
思いを伝える事も出来ないくらいに報われないと分かっている、
その篤への恋
そう分かっていて、
これ以上好きになりたくない!
「その人は、私の事なんてぜんっぜん好きじゃないんだぁ」
自分で口にして、
ちょっと悲しくなるけど
口にする事で、
妙にスッキリともしてしまう
「え?そうなの?
広子ちゃんがそう思ってるだけかもしんないよ?」
「そんな事ないよ。
だって、いつも私の事なんて、てめぇ呼ばわりだし、
携帯電話の番号も訊いても教えてくれないし!
それに、迫って一晩一緒に過ごしても、
全く、私に手なんか出さないし…。
それに、それに……」