LOVEPAIN⑥
「悪いですけど、私彼氏居るんで」



王道だけど、この断り方が一番無難。


大抵はこれで引き下がる。


「え、彼氏に内緒で」


そうやって言われる事も、珍しくない。


この人達は私に好きだとか言う気持ちは微塵もなくて、
ただヤりたいだけ。


そして、私がAV女優だから、と足元を見ている感じがひしひしと伝わって来る。


木原さんの背後から、
こちらへと歩いて来るMioちゃんの姿が見えた。


「えー、木原さん!
そんな急にデートしようなんて、困りますよー」


私はわざと笑顔で、Mioちゃんに届くくらい大きな声を出した。


「えー、一回だけ!」


私の顔色が明るいからか、木原さんはイケると確信したのが分かった。

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