LOVEPAIN⑥
その後、私と成瀬はそのお店に居づらくて、そそくさとファミレスを後にした。


そこから近くの私達の宿泊するビジネスホテルの前に着くと、


「俺、このままちょっと三咲と飲みに行って来る。
アイツもちょうど出張で大阪来てるみたいで。
福島のホテルみたいだから、
大阪駅辺りで飲もうって。
お前も来るか?」


その予期せぬ誘いに、えっ、と一瞬心弾んだけど、
私は邪魔だよな、と思った。


男同士水入らずがいいだろう。


それに、成瀬のその友達の永倉三咲さんには、私は嫌われているっぽいし。


“ーー成瀬君を嫌な男にしてるのは、広子ちゃんだからーー”


あの頃と今の状況は違うけど。


あの頃は、私との複雑な関係で成瀬の事を嫌な男にしているみたいな話だったけど、

今は、成瀬はもう芽衣子さんって彼女が居るし。


流石に、成瀬はもう私の事なんて…。


「私疲れたので、もうホテルで休みたいです。
三咲さんによろしく言っといてください」


私がそう言うと、そうか、と成瀬は少し残念そうな表情を浮かべてくれた。


「じゃあ、行って来る」


そう言う成瀬を、私は気を付けて、と見送った。

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