LOVEPAIN⑥
「ほら、これ俺の部屋の鍵」


そう言って、成瀬はスーツの背広のポケットから長細いルームキーを取り出した。


ああ、と成瀬の考えている事が分かった。


「俺がこの部屋使うから。
お前は俺の部屋使え」


「この部屋出るけど、大丈夫ですか?」


成瀬の提案は有難いし、もう私は部屋を移る気満々なのだけど、
一応訊いてみる。


「俺、もうこのまま眠ってしまうから、問題ない。
アラームも合わせたし、このまま…」


「そうですか…」


成瀬は苦しそうに、ベッドの上目を閉じている。


よっぽど飲んだのだろうか?


「にしても、頭いてぇ」


それで、その苦しそうな顔なんだな。

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