LOVEPAIN⑥
暫く、私はテレビに写る秋原慎太郎を眺めていた。


特に恋しい気持ちはないけど、
この人は私の存在なんて直ぐ忘れて行くんだろうな、と思うと。


なんだか、少し寂しかった。


その番組が終わる頃には、成瀬が寝息を立てている事に気付いた。


私は普段飲んでいて、その薬の効果を知っている。


ちょっとした事くらいでは、起きないだろう。


私は、眠っている成瀬の上に腕を付いた状態で覆い被さると、
その顔を見る。


直ぐそこに成瀬の顔がある。


簡単に、キスが出来てしまう距離。


もし、以前の私達の関係ならば、
この幽霊騒動の成り行きで、同じ部屋で朝迄なんて事もあったかもしれない。


今の私達は、こんな手を使わないと、
こうやって近付く事さえも出来ない。


その成瀬の寝顔を見ていると、愛しさが込み上げて来る。


ナツキの事だけではなく、
篤に対するあの淡い恋心さえも消えて行く。


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