LOVEPAIN⑥
「みたいだよ。
かと言って、レンはナンバー2のままだけど」


モモさんはさらっとそう言うと、
持っている酎ハイのグラスに口を付けていた。


なんとなく、もうそれ以上はナツキの事は聞けそうにない。


「今、あのケイって子がナンバーワンなんだよね。
ナツキじゃなく、あの子指名しとけば良かったな」


そのマリンさんの言葉にも、驚いてしまう。


ケイである須田が、今あの店でナンバーワンなんだ。


「広子、逃がした魚は大きかったのかもよ?
ナツキに行かずケイと付き合ってりゃあ良かったのに。
ケイ捨てて選んだナツキとも上手く行かなかったんでしょ」


モモさんにそう言われ、合わせるように笑った。


最近のナツキとの関係は、モモさんとマリンさんには隠そう。


「そんなわけで私は行かないから、
モモちゃんと広子ちゃんだけで楽しんで来て」


「いえ、私も行かないです。
彼氏が厳しいので」


元々考えていた断り文句を言う。


特にひねりもないけど。



「あんた今男いるの?
どんな奴?」

モモさんは興味があるのか、目を輝かせて訊いて来る。



「えっと、アマチュアなんですけどバンドやってて」


私は一応彼氏の涼雅の事を話す。


「バンドマンって、絶対広子遊ばれてんじゃん!
相変わらず広子は男見る目ないんだね」


「そ、そうでしょうか?」


目の前のモモさんは言葉とは相反して大笑いで、
マリンさんもそれに釣られて笑っている。


その後は、私が涼雅の話をしたり、
各々仕事であった出来事を話したりして、
それなりに盛り上がった。


そして、ホストクラブへはモモさんだけが行く事となった。


勿論、私もマリンさんもその二次会のボーリングへは行かなかった。

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