LOVEPAIN⑥
マンションから少し離れた路地で、
私は携帯電話を鞄から取り出して、
ナツキに電話をした。


コール音が鳴ってもナツキがなかなか出なくて妙に不安になったが、


『はーい。もう忘年会終わったの?』


いつもと変わらないナツキの声が聞こえた。


「あ、あのさ、ナツキ今日休みなんでしょ?」


『ああ、マリンから聞いた?』


「うん」


『で?』


で?、と訊かれて、少し困ってしまった。


一応、私達は付き合ってはいないから、
休みなのを隠されていたのを酷いと怒るのも違うし。


いや、付き合っていても、そこまでの束縛もあれだけど。



なんとなく、この話の流れで、今からナツキの家に行っていいかどうか、訊きにくいな。


そう思って、黙り込んでしまった。


モモさんが言うには、ナツキは最近度々店を休んでいるみたいだけど、


その辺りも、訊きづらい。



『あ、明日無理かもしれない』


「明日?」


明日はあのホストクラブ自体が定休日でナツキは休み。


ナツキとはその曜日は会う事が当たり前になっている。


今日の休みの事やそうやって明日断られた事に、
なんだか落ち着かないような気持ちになった。


ナツキに避けられているのだろうか?



< 343 / 501 >

この作品をシェア

pagetop