LOVEPAIN⑥
『朝から美容室の予約入れてて、
もうすぐクリスマスだから、お前のプレゼント買いに行こうと思ってて。
明日しか買いに行ける日がなさそうだし』
「え、あ、うん」
ナツキも私にクリスマスプレゼントくれるんだ、と嬉しくなった。
『夜は、前店に居た奴の結婚式があって。
結婚式って言っても、レストラン貸し切っての立食パーティーみたいなんだけど。
結婚するそいつ以外にも、うちの店辞めた人とか懐かしい人達も一杯来るから、二次会や三次会で、朝迄飲むと思う。
だから、そんな感じ』
「そうか。それは明日は会えないね…」
別にナツキに避けられている訳ではないみたいだな。
ナツキの明日のその断りの理由も、
本当だろうし。
「あ、じゃあ今から会えない?」
話の流れ的に、自然と言えた。
『今からは…人と会うから無理』
「そ、そう…」
だから、今日お店休んでいるんだな、と思った。
そして、ナツキの彼女ではない私は、それが誰かなんて訊けない。
『けど、今日と明日会えないけど、クリスマス店休んだから。
イブの24日から26日まで。
だから、27日の出勤前の夕方くらいまではずっと広子と一緒に居られる。
24日のイブは、とっておきのプレゼント用意して、部屋で広子の事待っているから』
「そう…」
ナツキの仕事柄、クリスマスに仕事を休んで大丈夫なのだろうか?
先程のモモさん達の話が頭を過る。
『そう、って。
演技でも、もうちょっと嬉しそうに出来ない?』
「え、いや、違うの。
そんなにお店休んで大丈夫なのかな?って気になって。
ましてやクリスマスだし」
『大丈夫。
俺を誰だと思ってんの?
別にちょっと休んだくらいどうって事ないから』
「そう…」
今、電話でモモさん達から聞いた話をナツキに言うのも、あれだよな。
今度ナツキに会った時に、訊いてみよう。
そして、ナツキがまた榊原先生の所へ通っている事も、思いきって訊いてみよう。
このままナツキの事を放っておいたら、
取り返しがつかない事になりそうな気がする。