LOVEPAIN⑥
「なんだろう?」


ナツキはそう言って、私の渡した紙袋から、
それを取り出した。

包装されたそれを丁寧に外すと、
その箱を開けた。


「…ネクタイ。
ありがとう。
嬉しい」


そう言って、笑顔で私の方を見るけども、
それなりにナツキと一緒に過ごして来たからか、
それが本心から喜んでいない事が分かってしまった。


「気に入らなかった?」


そう言った自分の声が、沈んでしまう。


「嬉しいけど」


そう言ったナツキの表情が、
言葉とは裏腹に見える。


「私、何にするか凄く考えたのに」


ナツキが会えないと言ったあの休みの日、
私は一人で何時間も色々な店を回ってそれを購入した。


なのに、気に入って貰えないなんて。


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