LOVEPAIN⑥
「けど、あの人の方が広子より気が利きそうだから、時計やアクセサリーとか挙げそう」


ナツキの言うように、確かに成瀬は時計を挙げていたけど。



「だって、ナツキいい時計持ってるでしょ。
流石に何百万もする物プレゼントする余裕はないもん。
アクセサリーもナツキの趣味もよく分からないし、既に指輪はしてるし



そう言って、ナツキの左の親指と私の左手の薬指に嵌まる、そのお揃いの指輪を見た。


「まぁ」

「それに、そのネクタイだってそんな安い物じゃないし…」


あまり値段の事は言いたくないけども、つい。


だって、そのネクタイ10万円ちょっとしたし。


私はブランドに詳しくないが、ドミニなんとかのアールなんとかコレクションとからしくて。


「同じ10万なら、ネクタイより時計の方が俺は嬉しかったかも」


特にネクタイの値段は言っていないが、
ナツキから見てそれがいくらくらいか分かったのだろう。


「けど、ナツキ10万の時計なんてしないでしょ?」


「広子がくれたなら、すると思う。
それこそ、肌身離さず」


プレゼントは気持ちなのだと言った、
成瀬の言葉を思い出した。



とりあえず、値段が高ければいいと思っただけの私の気持ちを、
ナツキは見抜いているのだろう。


そして、私は確かにネクタイを無難だと思って選んだ。


そんな物でナツキが喜ぶと思っていた私の考えも見透かされている。


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