LOVEPAIN⑥
「けど、お前がさっきから辛気臭いのは、そのネクタイの事だけかよ?」


なんだかその篤の言葉が優しく感じて、
それがとても嬉しくて、
私はけっこう篤を好きになっているのだと思った。


「成瀬さんの結婚の事は悲しいけど…」


「そうじゃなくて。
あのイケメンホストと」


「別に、ちょっと喧嘩しただけですよ」


そう笑うと、篤はそうか、と呟いた。



「俺が口出しする事じゃねぇが、
もうあのイケメンホストとは別れろ」


「別れるも何も、ナツキとは付き合ってないですよ」


そう口にして、この先もう私とナツキがちゃんと付き合う事はきっとないだろうな、と思った。


それくらいに、私の中に有ったナツキに対する柔らかいような気持ちが、今回の事で粉々になった。


残っているのは、ナツキに対する恐怖心だけ。


もし、ナツキの子供を妊娠したらどうしよう…。


私に恐怖しか抱かせないナツキと、結婚して子供を産んで生活して行く事なんて考えられない。

きっと、子供が出来ていても、
ナツキに対する気持ちはもう変わらないと思う。



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