LOVEPAIN⑥
『さっきさ、事務所にお前の叔父だと名乗る人物から電話が有った。
なんか感じ悪かったから、お前に言うかどうか迷ったんだが。
んで、折り返しお前に連絡させろって言ってて、まぁ、連絡先聞いたんだが…。
迷ったけど、一応、お前に言っておこうと思って。
そいつに連絡するかどうかは、お前の判断に任せようと思う』


頭の中に、その成瀬の言う叔父さんが浮かぶ。


それは父親の兄。

父親の二人居る兄の、一番上の兄の方だろう。


うちの父親とは違い、真面目を絵に書いたような人物で、
今まで数える程しか会った事ないけど、苦手。


いつもピリピリとしていて、
怖い人ってイメージ。


『…聞いた連絡先教えて下さい。
電話してみます』


私が連絡しないと、また叔父さんは成瀬の会社に電話をして来るだろう。


そして、成瀬企画に連絡をして来たって事は、
私が今AVに出ている事を知っているのだろう。


大方、要件はその事だろうと思う。


『じゃあ、電話切ったらその連絡先メールする』


「そう言えば、成瀬さん今日も仕事だったんですか?
こないだ篤さんに会った時、仕事納めで、って言っていたから」


『ああ。電話番で今日迄俺だけ出てる。
もうすぐ帰るけど、大晦日だし』


きっと、大晦日の今日は、成瀬の部屋では芽衣子さんが待っていて、
一緒に紅白なんか見て今夜は過ごすんだろうな。


「成瀬さん。
良いお年を」


『ん?ああ。お前もな』


成瀬はそう言うと、じゃあな、と電話を切った。

< 374 / 501 >

この作品をシェア

pagetop