LOVEPAIN⑥
涼雅が出て行った後の部屋は、
先程よりもより一層物悲しい。


なんで涼雅をわざと怒らせるような事を、って思うけど、
感情を抑えきれ無かった。



行く宛なんかないけども、
ずっとこのまま一人部屋に居る事が辛くて、
部屋を飛び出した。


部屋から出れば、少しは気が紛れるんじゃないかって。


電車へと乗り、適当な駅で降りる。


その頃には、今年も後一時間程になっていた。


その降りた駅近くをぶらぶらと歩くけど、
大晦日の今日はどこも早く店終いしているのか、
見渡す限りある店は全て暗く、居酒屋のような飲食店さえも開いていない。


大きな道路を挟み、目の前のファミレスは開いているが、
レジ近くのソファーで待っている客が沢山居るのが遠目でも分かった。


そのファミレスの明かりに引き寄せられたのか、
ただ、人恋しかったのか。


私はそのファミレスを目指すように、
道路へとゆっくりと飛び出した。


キー、とブレーキを踏むような音がして、
目の前で大きなワンボックスカーが止まった。


その窓ガラスが開き、


「お前、気をつけろよ!」


私と歳が変わらないくらいの男性が、
私にそう怒鳴る。


その車には沢山人が乗っているようで、
きっと、今からみんなで遊びに行くのだろう。


私が黙っていると、
その車は直ぐに走り去った。


だけど、それと同時に、一台の大きなバイクが、
私の目の前に止まった。

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