LOVEPAIN⑥
「後ろ乗れよ」


それは、私に言っている。


今の一部始終を目撃していた私は、
このまま佐藤雲雀に関われば、
あの女の子以上にひどい目に遭わされる事くらい、簡単に予想出来てしまう。


「さっきの女の子、いいの?
あんな事して」


私はそうやって話を反らした。


そして、佐藤雲雀から逃げる隙を伺う。



「いいんじゃね?
あいつも同業だからまたどっかの仕事で会うかもだけど」


先程の女の子は、モデルとかなのだろうか?


確かに、けっこう可愛いのもそうだけど、
凄く細かった。


「AV女優、お前寂しいんだろ?
男が欲しくて仕方ないって顔して。
俺をくれてやるよ、乗れよ」


再びそう促されて、私は地面に落ちているヘルメットを手に取った。


なんだか、もうどうでもよくなって来た。



「何処に行くの?」


そう訊く私に、佐藤雲雀は不気味な笑みを浮かべる。


「俺となら、お前は何処でも地獄だろ」


そうか。


私はこのまま地獄に堕ちるのか…。

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