LOVEPAIN⑥
バイクは暫く山道をくねくねとしながら登り、
段々と道が平坦となり、
今は山上を走っているのだと思う。


そして、長い一本道に差し掛かった時、
佐藤雲雀がバイクのスピードを上げるのが分かった。


私はその上がって行くスピードもそうだし、このまま何処かにぶつかるんじゃないかと、気が気でなくなる。


バイクの行く先に見える、ガードレール。


もしかして、このままそこに突っ込むつもり?


ぶつかる!


そう頭に思ったとほぼ同時に、
バイクが大きく横に曲がった。


バイクは道路横の広場に、斜めになりながら、自由を失くし滑るように走る。


そして、佐藤雲雀と私はバイクから弾き飛ばされた。


痛い…。


全身が痛い…。


ヘルメットをしていても、頭も痛い。


私はなんとか体を起こし、ヘルメットを外した。


近くに、佐藤雲雀が居て、佐藤雲雀も私と同じようにヘルメットを外した。


「マジありえねぇ」


そう言って、ケラケラと笑い出した。


私達からかなり離れた場所で、
私達を乗せていたと思われるバイクがひっくり返っている。



私は今の状況を理解する。


これは事故やバイクでこけたって類いのやつなのだろうけど、
佐藤雲雀が故意に起こしたと思う。


私も佐藤雲雀も大きな怪我はしてなさそうだけど、
一歩間違えていたら死んでいたかもしれない。


そう思うと、背筋が氷つくように冷たくなる。


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