LOVEPAIN⑥
「そんな子供生まれても不幸なだけだし、
AV女優お前もクソみてぇな母親にしかならないだろ」


佐藤雲雀にそう言われて初めて、
子供が出来る事は、母親になる事なのだと思った。


今現在、もしかしたらナツキの子供を妊娠しているかもしれない、と怖くて仕方ないが、
それは、母親になる事に対する恐怖なのかもしれない。


私は自分の子供を、ちゃんと愛して育てられるのだろうか?



「俺の母親はクソで、お前みたいに男が居ないと生きて行けないって感じの、女だった」


そう言えば、佐藤雲雀が以前そんな事を言っていたような気がする。


‘ーーお前見てると、
大嫌いな母親思い出すんだよ。

男にいいように利用されてばっかで。
男なしでは生きられないってオーラが全身から出てて、
頭悪くてーー’


「俺はそんなクソ女が生んだ父親が誰かも分からないガキで、
母親から愛された記憶もない。
母親の男に殴られてても、
母親は俺を助ける所か、その男と一緒に笑ってて。
ま、ろくな思い出なんかない。
俺なんか生まれて来なければ良かったって何度も思ってるうちに、
もうそれすら思わなくなった」


佐藤雲雀のその言葉が、白い息に変わる。


私はチラリ、と佐藤雲雀を見るが、
佐藤雲雀はただ、目の前の夜空を見ている。


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