LOVEPAIN⑥
佐藤雲雀は、着ているブルゾンのポケットから、
スマホを取り出し見ている。
「年が変わったな」
そう言われて、大晦日だった事を思い出した。
年が変わるだけで、
ついさっきの事さえも、過去のように感じる。
佐藤雲雀は体を起こすと、
体についた砂や枯れ草等を手で払い落としていた。
そして、私を見下ろして、睨み付けて来る。
さっきまでは怖くて仕方なかった佐藤雲雀だけど、
今はそうでもないかもしれない。
「今日、むしゃくしゃしてた所にうぜぇお前が通りかかったから、ぶん殴ったらちょっとはスッキリするかと思ったけど。
なんかどうでもよくなった」
「私の事、殴る気だったんだ…」
それで、こうやって人が居ない場所へ連れて来られたんだ。
佐藤雲雀が荒れているのは、高橋みかちゃんへの失恋からなのだろうか。
きっと、佐藤雲雀は彼女にマジになってしまったのだろう。
「今年は男に頼らず、ちょっとは自分だけの足で立ってみろよ」
そう言われ、本当にその通りだと思った。
私、いつも誰かを頼ろうとしている。
「じゃあな、AV女優」
佐藤雲雀はヘルメットを持ち、立ち上がると、
遠く離れたバイクの方へと歩いて行く。
倒れているその大きなバイクを起こすと、
ヘルメットを被り、バイクに跨がった。
そして、私の方を振り返る事もなく、
佐藤雲雀はバイクで走り去ってしまった。
スマホを取り出し見ている。
「年が変わったな」
そう言われて、大晦日だった事を思い出した。
年が変わるだけで、
ついさっきの事さえも、過去のように感じる。
佐藤雲雀は体を起こすと、
体についた砂や枯れ草等を手で払い落としていた。
そして、私を見下ろして、睨み付けて来る。
さっきまでは怖くて仕方なかった佐藤雲雀だけど、
今はそうでもないかもしれない。
「今日、むしゃくしゃしてた所にうぜぇお前が通りかかったから、ぶん殴ったらちょっとはスッキリするかと思ったけど。
なんかどうでもよくなった」
「私の事、殴る気だったんだ…」
それで、こうやって人が居ない場所へ連れて来られたんだ。
佐藤雲雀が荒れているのは、高橋みかちゃんへの失恋からなのだろうか。
きっと、佐藤雲雀は彼女にマジになってしまったのだろう。
「今年は男に頼らず、ちょっとは自分だけの足で立ってみろよ」
そう言われ、本当にその通りだと思った。
私、いつも誰かを頼ろうとしている。
「じゃあな、AV女優」
佐藤雲雀はヘルメットを持ち、立ち上がると、
遠く離れたバイクの方へと歩いて行く。
倒れているその大きなバイクを起こすと、
ヘルメットを被り、バイクに跨がった。
そして、私の方を振り返る事もなく、
佐藤雲雀はバイクで走り去ってしまった。