LOVEPAIN⑥
「それより、篤さん、なんで私の携帯番号知ってるんですか?」


篤とは、連絡先の交換は出来ずにここまで来ていたから。


『ああ。村上に訊いた』


なるほど。須田から聞いたのか。


なんとなく、訊いたのが成瀬じゃなくて良かったと思った。


「なんだか、色々と心配掛けてすみません。
別に自殺も考えてないですし、私は大丈夫です。
お姉さんにも謝ってて下さい」


そう口にして、
どっかでもう死んでもいいような気持ちで町をふらふらしていたけど、
佐藤雲雀に会って、なんかどうでもよくなってしまった。


ヤバイ佐藤雲雀でも、側に居てくれて、
寂しくなくなった。


『姉貴からの電話に気付くのが遅くて、
お前に今電話してるけど。
もっと早く俺がお前に電話してたら、
姉貴に言ってお前は花子に会えただろうし。
そうしたら、あの涼雅って奴と喧嘩する事も無かったかもな。
悪かった』


「なんで篤さんが謝るんですか?
別に篤さん、悪くないのに…」


そう言葉にしたら、泣けて来た。


篤の優しさが、身に染みたのか。


『つーか、お前今何処にいんだよ?お前、今一人なんだろ?』


「えっ、はい。
山みたいなんですけど。
R山って山の、山上の公園広場みたいな所です」


ここに来る時にバイクの後ろから見た標識には、確かそう書いて有った。


『今から迎えに行ってやるから、そっから動くな』


「えっ、迎えにって…」


『その山から下りられねぇんだろ?
R山なら、この時間ならクルマで一時間掛からねぇと思う』


「え、でも」


『うっせぇ。
てめぇは黙ってそこで待ってろ!』


そう言って、篤は電話を切った。


佐藤雲雀に、今年は男に頼らずに、と言われたのに、
新年早々早速頼る事になってしまった。


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