LOVEPAIN⑥



目が覚めたのは、段々と外が白み始めて来たからか、凍えるような寒さからか。



私は重い瞼を、開ける。


ぐっすりと眠っていたみたい。


今日は睡眠薬を飲んでいないのに…。


これのおかげか、と、私は自分の右手を見る。


今も、篤の手は私の手をしっかりと握ってくれている。


それにしても、暖かい手だなぁ。


気持ち良さそうに眠っている篤の顔を見ていると、
なんとも言えない幸せな気分になる。


こうやって繋いだ手を見ていると、
全く脈がないわけではないのかな?と期待してしまう。


篤の手を握ったまま、体を起こした。


昨日の事故のせいか、体中がとても痛い。


ふと、窓の外に目を向けて驚く。


霧のような靄の中に見えるのは、
複数台の車。


この車の片面は広場に接しているが、
他の三面は見渡す限り沢山の車が停まっている。


私は繋いだ手を離して、篤の体を揺する。


「篤さん!起きて下さい!
私達、囲まれています!」


「ん…?
囲まれて…る?」


篤は起き上がると、半分閉じたままの目で、窓の外を見ている。


私達が寝てる間に現れたこの大量の車は何?

< 407 / 501 >

この作品をシェア

pagetop