LOVEPAIN⑥
「…ああ、あれだ?」


篤は運転席と助手席の間から見えるフロントガラスを指差した。


私はそちらに、目を向けた。


私の目一杯に、昇り始めたばかりの太陽がキラキラと映る。


これは、初日の出ってやつなのだろうか?



「あれだ。ここは初日の出が見れるスポットなんだろうな」


「はい…」


いつも元旦のこんな時間は眠っていて、
初日の出なんか気にした事無かったけど、
初めて見れて感動した。


「せっかくだから、お前祈っておけ。
元旦だしよ」


「祈るのは、初詣とかで神社じゃないんですか?」


「うっせぇ。
んなもん、別に祈りたいものに祈ってりゃあいいだろうがよ」


そう言われ、その初日の出の神々しさに両手を併せて目を閉じた。


祈りよりも、お礼をした。


こうやって篤とこんな綺麗な朝日を見れた事に、感謝を込める。


「お前、花子に会いたければいつでも会いに来いよ」


「あ、はい」


私は併せた手を下ろし、目を開いた。


「俺が部屋に居る時も、来い」


そう言った篤は私じゃなく初日の出を見ていて、
その横顔を見つめてしまう。


「はい…」

私がそう口にすると、篤は視線を私に向けた。

< 408 / 501 >

この作品をシェア

pagetop