LOVEPAIN⑥
「つーか、お前、全身ボロボロじゃねぇか?」

そう言われ、私は自分の体に目を向けた。


白いダッフルコートは、
所々真っ黒に汚れていて、ボタンが二個取れている。

カーキのパンツは所々擦りきれたように破れていて、
破損の酷い右膝辺りは血が浮いている。


「なんだ?バイクかなんかで引き摺られたりしたのか?」


呆れたように、篤は苦笑している。



「そんな所です」


私がそう言って笑うと、篤も笑う。



「なんか腹減ったし、ファミレスでも行くかって言いてぇけど、
んな見た目じゃあ、俺が不審な目で見られるだろうな」


「そうですね。
篤さんにやられたんだろうって」


そういえば、私は昨日の昼から何も食べてないから、お腹が空いたな。


「そのやられるはどういう意味か分からねぇけど、
そろそろ帰るか」


篤はそのまま運転席の方へと行く。


私もそれを追うように、助手席に座った。


もう帰るのか、寂しいな、と思ってしまう。


「俺はお前を送るついでに姉貴拾って実家に帰ろうと思ってるけど、
お前はそれでいいのかよ?」


「はい」


私には元旦だからって、帰る実家はない。


もしかしたら、今訊かれたのは、
ナツキの所に送るかどうかって事なのだろうか?


「んな感じで、今日は居ねぇけど、また明日は俺は部屋に居ると思う。
寂しいなら、来い」


「あ、はいっ!」


思わず、大きな声が出てしまった。


篤はそんな私をうざそうに見ている。

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